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三上晴子追悼イベント『三上晴子と80年代』
10月16日(金)に旧友・三上晴子氏の追悼イベントにパネリストのひとりとして嘉藤笑子が参加します。
今年1月に急逝した三上晴子氏は、多摩美術大学教授として活躍していた人物であり、メディアアーティストとして国際的に知られた人でした。そんな彼女と私の接点を知る人は少ないと思いますが、互いに深く強く影響し合ったもの同士でした。
実は私も映像メディアに関わるひとりでした。日本初のヴィデオギャラリーSCANやパルコ主催のギャラリーSPOONなど、80年代に起こっていたメディアアートの興隆期に多少なり関わっていたと思います。三上晴子とは、84年ごろに出会ったことになります。私は、サブカルチャーマガジンとして伝説化したTRA(カセットテープと冊子のAVマガジン)の編集部におりました。とはいえ、アルバイトに毛が生えた程度ですが。三上氏は、若くて美しく、とてもエネルギッシュだった。そして過激なファッションに身を包んでいました。実は、私もですが、ずっと封印しています(苦笑)。

◆追悼イベントの寄稿文◆
三上晴子追悼

Born as an artist, Seiko Mikami

三上晴子氏の訃報が届いたのは、遠くニューヨークの友人からだった。その知らせは、遠雷を聴くように地響きとなって段々と迫って来るものだった。今回、80年代の追悼イベントが開催されることになり、私と三上氏との距離を一挙に縮めてくれることになったことは嬉しい。三上晴子というアーティストが誕生する瞬間を立ち会ったものが、それを証言できる機会を得たのだ。やはり彼女が導いてくれたのではないかと勝手にセンチメンタルになってしまうのは、旧知の友として許してもらいたい。
最初の出会いは、1983年WAVE(六本木にあった西武系AV専門館)に小さなアート店舗『TRAMART』(カセットアートマガジン・TRA主催)である。私は、そのショップ担当者であり、彼女は店番だった。ふたりとも若くて、パンキッシュだったといえるだろう。つまり当時のクラブカルチャーを全身に受け止めていた。そして、まったく美術家ではなかった。彼女は、アカデミズムによるヒエラルキーとは無縁で、それを真っ向から破壊していく自虐的なエネルギーに溢れていた。そのほとんどが、都市空間のなかで彼女自身が拒絶的な叫びをあげているようなキリキリとした痛みに近いものだった。
とはいえ、彼女は孤独ではなかっただろう。むしろ、音楽、映画、演劇などの多ジャンルのクリエイターたちと交わることで、閉塞的なヴィジュアルアーツの世界とは距離を置くことができた。私は、80年代に多くの時間を彼女と過ごし、曖昧な共存ともいえるほど身近な関係であったけれども、「アーティスト三上晴子」となって自律していく時期には、それぞれがそれぞれの道を歩み始めた。90年代に入り、彼女がニューヨークに旅立つ頃は、私はロンドンを選んだ。その後、私がロンドンからニューヨークに休暇でいき、彼女と偶然の再会をしたことは楽しい思い出である。
「卒啄」という言葉がある。雛が内側から殻を突き破って出てくる瞬間だ。その時、親鳥も同時に殻を突いて雛を出すという。彼女は、独自の力で殻を破ったアーティストだった。あえて言えば、外から突いた親鳥は、80年代という時代であり、東京という都市なのである。


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今年初頭に急逝したアーティスト、三上晴子(1961-2015)の80年代の活動の軌跡、作品や資料の保存、そして現在から未来に広く伝えていくためのアーカイブを作る準備となる展覧会を2015年10月2日[金]〜26日[月]、パラボリカ・ビスにて開催します。
展覧会概要をまとめたものをお送りさせて頂きますのでお目通しの上、足をお運びくださいますようお願い申し上げます。
今回扱う時代が30年前ということもあり、ご関係の深い皆さまへ展覧会のお知らせをお届けできない可能性がございます。身の回りのご関係者、ご興味をお持ちの方に、お知らせ・ご転送頂ければ深甚です。
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Seiko Mikami Project v.1 「三上晴子と80年代」
三上晴子は、80年代という時代とともに鮮やかに登場しました。1985年の初個展「滅ビノ新造型」で脚光を浴びる以前に、すでに東京の最先端のアートシーンにおいて、華やかな存在として注目を集めていました。その後、神経や脳を思わせるケーブルやコンピュータの電子基板を使ったオブジェやインスタレーションを発表、急速に発展する情報社会における都市と身体の関係を提示するものでした。膨大な廃棄物が集積され作品へと転化された光景は、ポストモダンが始まり、バブル経済に向って変容する都市に逆襲するかのようなデッドテックな雰囲気に満ちていました。
92年に渡米しコンピュータ科学を学ぶなか、不可視の情報と身体の関係へと興味が移行、90年代半ば以降、インタラクティヴ作品を発表し始めます。それと同時に三上は、80年代の作品を封印するようになりました。しかし80年代の活動は、素材や表現方法が異なっていようとも、アーティスト三上晴子が形成された基盤であり、その根幹や問題系は、近年の作品に至るまで通底しているのではないでしょうか。
おそらく今という機会を逃すと、80年代の作品や資料が散逸し、辿れなくなる可能性があります。今後のアーカイブ構築へとバトンを渡すべく、会期中もトークショウや聞き取りなどによって、資料の収集を行いたいと考えています。
今野裕一・四方幸子(本展共同企画者・キュレーター)
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Seiko Mikami Project v.1 
「三上晴子と80年代」
■2015年10月2日[金]〜26日[月]
■月〜金/13:00〜20:00 土日祝/12:00〜19:00
*10月21日[水]、23日[金]、イベントの前は資料展示をcloseします。
*イベント中は作品をご覧頂けなくなる場合がございます。ご了承下さい。
■入場料:500円(開催中の展覧会共通)
■会場:parabolica-bis [パラボリカ・ビス]
■東京都台東区柳橋2-18-11  
■http://www.yaso-peyotl.com
■TEL:03-5835-1180
■アクセス
「浅草橋」駅(JR東口・徒歩6分/都営浅草線A6出口・徒歩4分)
■企画・キュレーション:今野裕一+四方幸子
■主催:Seiko Mikami Project v.1実行委員会 (今野裕一/四方幸子/時里充/新妻葉子/馬定延/ミルキィ・イソベ)、ステュディオ・パラボリカ
■協力:多摩美術大学メディア芸術コース、P3 art and environment、株式会社レントゲンヴェルケ
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■イベント/特に記載がないものは前売・当日:1500円
●10/02[金]19:00〜 オープニングパーティ 無料
●10/04[日]20:00頃〜 トーク/飴屋法水(演出家、美術家)
●10/10[土]17:00〜 トーク/椹木野衣(美術評論家)×山川冬樹(ホーメイ歌手・美術家)
●10/12[月・祝]19:00〜 トーク/山形浩生(評論家)
●10/16[金]19:00〜 トーク/嘉藤笑子(Art Autonomy Networkディレクター)×常葉のゆり(コーディネーター)
●10/17[土]19:00〜 トーク/都築響一(編集者)
●10/24[土]19:00〜 ライブ/山川冬樹(ホーメイ歌手・美術家)  *終演後トークあり 前売:2500円/当日:3000円
●10/25[日]
15:00〜 トーク/池内務(レントゲンヴェルケ代表)、芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)、今野裕一(夜想 編集長)*トーク後ラウンドテーブルあり
18:00〜 クロージングパーティ 無料
▶︎お問合せ・お申込み:パラボリカ・ビス/電話:03-5835-1180/オンラインショップ:www.parabolica-bis.com
▶最新情報:http://www.yaso-peyotl.com/
□各日開演時間の15分前からご入場いただけます。
□イベントの料金には展覧会入場料が含まれます。
□終演後、展示をご覧頂けます。
□イベントの日程・料金・内容は変更になる可能性もございます。
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[三上晴子 プロフィール]
1961年生まれ。1984年から情報社会と身体をテーマとした大規模なインスタレーション作品を発表。1992年から2000年までニューヨークを拠点に日本及び欧米で数多くの作品を発表する。1995年からは「知覚によるインターフェイス」をテーマとしたインタラクティヴな作品を発表。2000年に多摩美術大学情報デザイン学科に着任。国内外の美術館・ギャラリー、メディア・アート・フェスティバルに出品参加。2013年には《欲望のコード》(山口情報芸術センター[YCAM]委嘱作品、2010)が第16回文化庁メディア芸術祭のアート部門で優秀賞を受賞。2015年1月2日没。
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Seiko Mikami Project v.1実行委員会事務局
parabolica- bis[パラボリカ・ビス]
東京都台東区柳橋2-18-11
TEL : 03-5835-1180
mail: contact@yaso-peyotl.com
http://www.yaso-peyotl.com/
★三上晴子の作品写真、映像、活動に関する情報などのご提供もお待ちしております。
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by a-a-n | 2015-10-16 02:08 | アーカイブ作業
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