AANディレクターの嘉藤は、日本橋とは別に「向島学会」の理事(すでに10年目?)として墨田区ともかかわっているんですが、その関係で「墨田まち見世プロジェクト」の一環でトークを行いました。
トークは、第1回 墨東まち見世塾という事業として開催され、「まちづくりとアート」について学ぶ場だったので、もっと直接的な内容を言及すべきだったのかもしれないです。でも、ヨーロッパのアート事情のなかにまちづくりを反映するのは難しいんですよね。それだけアートは、社会的な存在として確立しているし、国際展としてすでに長寿の域にあるドクメンタ(1955年開始)からすれば、日本の文化政策は若輩に見えても仕方ないです。とはいえ、ドイツの有名な国際展から日本のアートフェスやアートプロジェクトの在り方を振り返る機会にもなったらいいと願っています。今回のトークに招へいしていただき、とても刺激的な機会をいただきました。「まち見世」や「向島学会」の事務局のみなさまには、大変にお世話になりました。ここに御礼を申し上げます。 さて、開催会場は、亀戸スタジオという大型倉庫を複数のアーティストがシェアしているアトリエです。1階のフロア面積はCH131より広いかな。ただし、2階までなので、総面積はCH131のほうが大きいと思います。かつてカッセルに住んでいた岸本さんが、スタジオのシェアメンバーで、今回ホスト役としてお世話になりました。岸本さんには、10年前にカッセルでお会いしたのが初めてです。いやぁ、人生いろいろとつながりますね。 会場には、ドクメンタやベルリンビエンナーレで手に入れたポスターや布袋、傘などを展示して雰囲気を盛り上げたつもりです。このポスターやバッジなどを最後にプレゼンとしました。 「ドクメンタ」は、よく聞くけど何がすごいの?何がそんなに有名なの?と素朴な疑問をおさらいして、今年のドクメンタの特徴を嘉藤なりの視点でお答えしました。 Documenta13 開催日程:2010年6月21日―2012年9月16日まで 開催会場:KASSEL、KABUL-BAMIYAN(2010年6月7日~7月19日)、ALEXIANDRIA-CAIRO(2012年7月1日~7月8日)、BANFF(2012年8月2日―8月15日) 今年のアーティスティック・ディレクター◎カロリン・クリストフ=バカルギエフ(イタリア系アメリカ人) 経歴:PS1シニアキュレーター (1999-2001)”Greater New York(2000) “Around1984”(2000)展を開催。チーフキュレーター、Castello di Rivoli Museum of Contemporary, トリノ 2002-2008、09仮館長)、共同キュレーターとして第1回トリノトリエンナーレ(2005)、アーティスティック・ディレクターとして第16回シドニービエンナーレ(2008) インディペンデント時代:ジョン・ケージ(ヴェネティア・ビエンナーレ1993)、アントワープ‘93「Euro Capital of Culture」アルベルト・ブッリ(戦後イタリア美術、1996)、ローマ市街展“Citta-Natura”(ローマ1997)、ヴィラ・メディチ(1998-2000)の3年間事業(約100名以上の作家) 出版:アルテ・ポーヴェラ(Phaidon,1999)、ウィリアム・ケントリッジ(1998-99)、ジャネット・カーディフ+ジョージ・ブール=ミラー(PS1,2001) テキスト「The dance was very frenetic, lively, rattling, clanging, rolling, contorted, and lasted for a long time」(その踊りは、とっても熱狂的で、生き生きしていて、ガタガタしていて、ガーンとして、転がって、捻じ曲げて、長い間続いた。) ●DOCUMENTA(ドクメンタ)1955年からカッセルで始まる。自治出資による「ドクメンタ有限会社」による運営。ドクメンタ5(1972)のハラルド・ゼーマン(1933-2005、スイス)からディレクター制。ヨゼフ・ボイスほかコンセプチュアリストを多数採用。以後5年制。ヨゼフ・ボイス「直接民主主義のための100日間情報センター」@Documenta5。デュッセルドルフ芸術アカデミー(1961-1972解雇)→自由国際大学(Free University)@1974、1978不当解雇について勝訴(以後、教室がFree Universtyのオフィス。7000本の樫の木を植えるプロジェクト@ドクメンタⅩとXII(1972・1982)「社会彫刻」「緑の党」へ。 ウォーター・デ・マリア@Documenta7の[Vertical Earth Kilometer] こうした基本情報を踏まえてドクメンタ13を見ることで、以下のようなキーワードから、より展覧会の特徴が明確に見えてくるはずです。 もちろん、鑑賞者がそれぞれに見て感じればいいことなのですが、大きな国際展(190人以上の参加作家で30以上の施設を利用した展覧会であり、まる4日間をかけても見たりないほど巨大なスケールの美術展)を見るために、これらの客観的な視点が加味することで、少しでも手がかりになればと思っています。 ■アラブの春+アフガン(12名)イスラム圏 ⇒戦争/紛争/政治 ■アーカイヴ(歴史から読み返す) ■文化財保護(世界遺産セキュリティの動き) ⇒Political Correctness/Globalisation/Public Commons ■自然/環境(エコロジー) ⇒Site Specific/市街地再利用 ■クロスワードパズル(キーワードで複数登場する) その後、400枚以上におよぶスライドを見てもらいました。 ほぼ3時間ぐらいぶっ続けで話をしましたが、まだまだ時間が足りませんでした。(笑) 非常に大がかりな展覧会なので、一度実際に見ることを薦めます。5年後のドクメンタ14は、ベネティア・ビエンナーレやミュンスター野外彫刻展も同時期に開催されます。この時は、ぜひとも出かけましょう。何か絶対に得るものはあるはずです。 「嘉藤笑子のドクメンタ&ベルリンビエンナーレ報告」 日時:6月30日(土) 19:00-21:00 ※開場18:30~ 会場:亀戸スタジオ [江東区亀戸8丁目20-8] 東武亀戸線・亀戸水神駅改札を出て目の前 参加費:500円 トーク:嘉藤笑子
by a-a-n
| 2012-06-30 23:59
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