ちいさいひと!大募集【キッズ・ライフ ドローイング】
私共、アート・オウトノミー・ネットワークは、2015年に2月27日に特定非営利活動(NPO)法人となりました。
新しい組織になって、『アートが牽引する社会』を実現していくために新たなプロジェクトを開始いたします。
その活動のひとつである『キッズ・ライフ ドローイング』プロジェクトのご案内をいたします。

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『キッズ・ライフ ドローイング』プロジェクトは、大分県別府市を拠点に活躍する若手美術家の勝 正光 (かつまさみつ)による鉛筆画シリーズの一つです。鉛筆画アートを通じた地域住民の方々との繋がりと広がりの活動が素晴らしく、その素晴らしさをお届けしたいと考え、アートコミッションとして『キッズ・ライフ ドローイング』プロジェクトを立ち上げました。

勝氏の鉛筆技法によってお子様の細かい表情まで非常に豊かに表現しアート作品として完成します。それは写真とはまったく異なもので、世界にたった一つだけのオリジナル作品です。そして、お子様やご家族にとって誕生日や入園・卒園記念になるだけでなく、小さな頃から身近に芸術と触れ合う貴重な機会となることでしょう。 

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ご興味がございましたら当事務局までご一報戴けますと幸いです。プロジェクトについては当法人のスタッフがご説明にお伺いさせて戴きます。
その他ご質問などがございましたらご遠慮なく御連絡ください。

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特定非営利活動法人 Art Autonomy Network (AAN)
〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13-1 Creative Hub 131 2階
   Tel: 03-6206-2767 E-Mail: info@a-a-n.org


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# by a-a-n | 2015-07-20 20:56 | アートコミッション | Comments(0)
DIALOGUES Curator's 総評
台風が来るぐらいですから、すっかり初夏ですね。
毎日、気温もグングンと上昇しているようです。

DIALOGUES展が、終了してすでに2ヶ月が過ぎましたが、テキストによるアーカイヴを進行しています。
本展キュレーター嘉藤笑子の展覧会総評をアップします。
ちょっと長文ですが、本展覧会に対する思い入れが十分に分かっていただけると思います。
どうぞ、よろしくお願いします。

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DIALOGUES展 国際現代美術展
~地域プロジェクトの国際性~ 嘉藤笑子

◆国際現代美術展「DIALOGUES」
 2015年1月16日から3月14日までの長期間にわたる国際現代美術展「DIALOGUES」を開催しました。会場は、NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Artsという日本橋にオープンした小さなアートセンターでした。本事業は、Art Autonomy Network[AAN]が主催事業として嘉藤笑子のキュレーションによって企画されたものです。
初日は、NICAのグランドオープニングが華やかに開催され、東京の本格的なアートセンターの始まりを200人も超える人々が祝賀しました。NICAの拠点である日本橋は、伝統と歴史を重んじる商業地域として広く知られた地域ですが、最近では新しい商業施設が軒並みに建設されている再開発が活発な地域です。NICA周辺地域は、複数のギャラリーが存在し、CET(Central East of Tokyo)におけるカルチュラルタウンとして認知される場所です。つまりは、21世紀型の新たな文化拠点として、国際文化都市に相応しいエリアになりつつあるというものです。こうしたポテンシャルを活かした国際現代美術展を開催し、本企画を皮切りに先駆的な文化拠点を設立していきたいと思いました。インターナショナルな感性を意識し、その環境や条件に相応しいアーティストを選出していくことでもありました。
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本展覧会「DIALOGUES」は、日本と海外アーティストによるそれぞれ2組を1ユニットとして構成し、3期連続に開催していく合計6人のグループ展でした。「DIALOGUES」は、<対話>という意味をもつことからも分かるように、国内外アーティスト同士が、対話をしながら進めていくプロセスワークでもありました。また、その対話は、アーティスト同士に留まらず、キュレーターやインターン、ボランティア、地域住民、アート関係者、観客などの領域を超えた広範囲にわたる人びとの対話を通して築かれた関係性を示すものでした。選出された作家たちにとっては、文化的背景や生活環境、母国語などが異なり、展覧会を機会に初めて出会い、協働で制作をしていくのですから、簡単なことではありません。限られた条件のなかで、短期間で展覧会を作り上げていくべき冒険的なプロジェクトでしたが、キュレーションの立場から見れば、その野心に適う人物が選ばれたとも言えるでしょう。
さらに展覧会は、「ひかりのまち」「かわのまち」「はしのまち」という題されたテーマがあり、それらはアーティストたちの会話のなかから抽出されたキーワードでもありました。この3期に分かれた展覧会は、それぞれ10日間の展示期間という短いものでしたが、それぞれのなかでアーティスト2名とゲストを含むトーク・イベントを開催しました。それらにも小さなタイトルがあり、トピックを設けることで各テーマにエッジを際立たせる役目にもなっていました。
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◆第1期「DIALOGUESひかりのまち」
それでは、一つひとつの展覧会について振り返ってみたいと思います。まず、第1期「DIALOGUESひかりのまち」は、栗山斉(取手)とシャーロット・マクグワン-グリフィン(ベルリン)のふたりのアーティストによる展覧会でした。栗山斉は、コンセプチュアル作品を中心に「無」と「存在」について言及している作家です。彼は、宇宙の始まりと終わりをひかりによって具現化しようとガラスチューブ(ネオン管)を用いた大掛かりなインスタレーション「∴0=1 open ended」を展示しました。螺旋形を描く光の輪は、すべてが輝いているのではなく、瞬いているものは複数のネオンだけで、螺旋の終わりは宙に吊られたまま、行き先を失うように流れているのでした。どことなく脆弱な様子は、宇宙の移ろいを示すようでむしろリアリティを現出させるとも言えます。
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この大きな作品に対置しているのが、マクグワン-グリフィンの和紙や洋紙を用いた大きなインスタレーションでした。彼女は、施工スタッフとしてセバスチャン・セイラーを帯同して来日しました。彼は、建築家であり大工として美術展の施工をしている経験から選ばれたようで、来日した直後から休まずにインスタレーションの構造体を構築したのでした。マクグワン-グリフィンは、これまでも大きな紙のインスタレーションを手がけてきましたが、今回は日本橋が江戸時代から続く商店街だった事実から、その当時に日常的に使われていた「大福帳」をテーマに「Kami-no-Machi」を制作しました。当時、商店の帳簿として使われていた「大福帳」は、細川紙という和紙を束ねた帳面でした。細川紙は、2014年にユネスコ無形文化遺産に「和紙・日本の手漉和紙技術」に登録された和紙のひとつで、我が国における伝統技術を継承する重要な文化財でもあります。今回の展覧会のために細川紙の産地である埼玉県比企郡小川町までアーティストと出かけて、細川紙産の大福帳を借用してきました。アーティストにとっては、和紙の手漉きを見ることもはじめであり、原材料である楮から和紙の素材を製作工程に触れることも初体験でした。こうした和紙の原材料や素材が展覧会に提供され、それらは、インスタレーションに活用されました。大きく母胎のように覆いかぶさる和紙の立体から薄らと漏れる白熱灯の灯りは、オレンジ色で柔らかく、かつての町人屋敷では日常として見られた光景を彷彿させました。
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NICAの小さなギャラリーには、ふたりの作家の小作品が展示されました。マクグワン-グリフィンは、W・G・ゼーバルトの散文小説「土星の環-イギリス行脚」(1995)から着想を得た「SUBSTANTIAL FORMS」(和紙・白熱灯、他)を展示しました。それは、和紙漉きの技術を学んだドイツ人職人による隙かしを施した漉き和紙作品で、照明によって2枚の重ね合わせた鳥の姿が浮き彫りになる小品でした。小説家・ゼーバルトは、ドイツ人でイギリスの大学で教鞭を取りながらドイツ語で小説を書いていました。彼の作品は、異邦人としての自らの姿と小説のなかに登場する主人公が重なり、異国のなかで時空を超えて彷徨っていく幻想小説でありながら、実際の旅程を綴る紀行文のような錯覚をもたらす、どこか不思議な世界観を持っているものでした。その作品が、ドイツに暮らすイギリス人である異邦人としての彼女が、日本に旅する姿を体現しているようで、タイトルに付けた<実体>という意味が、より仮想空間へと馳せるような気がするのでした。
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栗山は、ネオン管が花のようにグルグルと回っている作品「∴0=1-Polaris (BC100000-AD100000)」を展示空間の北に位置させました。この作品は、地球が誕生してから現在までの北極星・ポラリスの軌跡を可視化したものでした。まさに天文学的時間を経て地軸が振れている事実を顕在化した作品ですが、科学的な根拠に導き出された星の軌道であっても、ロマンティックな時空間の壮大な旅を思わせるのでした。作家の意図に従えば、科学の不動性は誤謬であり、普遍的な可動性に真実があるということでしょうか。人間の感傷に及ばない科学の普遍性にこそリアリティがあるということかもしれません。
ふたりのアーティストの競合ともいえる展示は、ギャラリー空間が溢れるような光で満ちていながら、その灯りが及ばない部分にも深く影響し、多くの影が潜んでいるのでした。つまりは、すべてが陰陽のなかで作品が充満していることで、観客は宇宙の塵のような浮遊物のようでもあり、母胎のなかで胎児が眠る永遠の安息のなかにいるようでもあったのです。
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◆第2期「DIALOGUESかわのまち」
第2期「DIALOGUESかわのまち」は、ジョン・ササキ(トロント)と森田浩彰(東京)によるユニット・プロジェクトでした。ふたりは、「DIALOGUES」をコラボレーションとして素直に受け止めプロセス重視の制作方法をとりました。それは、アーティスト同士が頻繁に対話を交わしながらチームワークによってプロジェクトを成立させる<愉快な仲間たち>の成果ともいえるものでした。ふたりは同い年のアーティストということもあって、意気投合するのも早く会話は初めから弾んでいたといえるでしょう。
日系3世として生まれ、トロントを拠点に活動するササキは、2014年に初めて来日したのを機に、日本人としてのルーツを探る気持ちを持っていました。しかしながら、本プロジェクトでは森田とのコラボレーションに集中し、異国における同胞の立場を全うしたのでした。ササキは、日本橋という名前から橋の下に流れる川の存在を指摘しました。それを受けて川のなかで“水中ドローン”による撮影を森田は提案しました。水中ドローンとは、実際には水中カメラをケーブルで繋ぎコントローラーで制御する水中ロボットのことでした。ドローンは、小型飛行機による空中撮影のことを指していますが、呼び方も含めて周知され始めたばかりの最新技術の感がありましたが、その最新性がアーティストにとっても惹かれる技術だったのでしょう。水中ロボットや機材のレンタル、その操作確認、スタッフ管理など撮影準備のために情報交換は頻繁に行われ、ついに快晴の撮影日を迎えることになりました。
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撮影場所は、東京の川に詳しい井出玄一氏(NPO法人ボート・ピーピル・アソシエイション理事長)からアドバイスを受け、穏やかな流れの“亀島川”になりました。この川は中央区の霊岸橋から亀島橋あたりの流域で日本橋川から分流したのち隅田川に合流する一級河川のことです。江戸時代は、徳川水軍の御船手奉行所のあった船舶の検閲所であり将監河岸とも呼ばれた歴史的なところです。海に近いこともあって潮位によって水位変動がある場所ですが、川辺まで階段で降りることができ、撮影には最適な場所でした。今回の撮影は、川底に埋まっているかもしれない宝探しを水中ドローンによってドキュメンタリー撮影するもので、撮影前には何も見つからない場合などの懸念もありましたが、見事に多数の埋蔵物を探し当てたのでした。川底の埋蔵品を探す人物は、プロのダイバーを依頼し、プロによる河川の潜水は慣例であるとのことでした。拾得物は、マウンテンバイクや自家用車のゴムタイヤ、梱包材に包まれたDVDプレヤー、ラジオカセット(SONY)、ピンクの長財布、鉄製パイプ、紺色の作業服(上着)、剥き出しになった小型モニターのブラウン管、タバコが詰まったガラス瓶、木材などすべてが長年にわたって川底に埋まっていたため石灰化していたり、貝殻がびっしりとついていたりと、その時間の経過を顕著に表わす状態でした。それらは、ほとんどが川底のヘドロにまみれた埋蔵品で、洗浄して乾燥するまでは酷い悪臭を放っていました。撮影中の水中ロボットは、アーティストが交代で作動し、片方はモニターをチェックしながら埋蔵品を発見するとダイバーに指示を伝え、片方は外部撮影や埋蔵品の引き取りをするという方法で速やかに進行していきました。来日から数日しか出会う時間がないなかでも、よいコミュニケーションがとれたことで、撮影から編集、インスタレーションまでスムースに進みました。
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水中ドローンで撮影された映像や、別カメラで河川周辺から撮影した映像など、複数の素材を15分程度の映像作品を仕上げました。映像作品は、「Under the Kamejima Bridge」とタイトルを付けて、ギャラリー壁面に大きくプロジェクションしました。スクリーンに反射する光だけが会場の照明となり、水揚げされた拾得物は、古びた廃棄物にも関わらず艶かしく光っているのでした。
小ギャラリーでは、亀島川の生水を入れた数十本のペットボトルをテーブルに配置し、観客に無料で配られました。そこには、「亀島川の水です。ご自由にお持ち帰り下さい。NICAは一切の責任を持ちませんので、ご自分の責任においてご使用お願いします」という日英文の注意事項がついていました。期間中に持ち帰る人数が少なかったのは、川底の残骸になった拾得物の姿のせいでしょうか。今回、展示されたアイテムは、15分間のヴィデオ作品、拾得物、川の水、という少数でありながら、一貫したストーリーのなかで語られる川の話でした。そのシンプルさ故に発見することが多く、人間の営みと川の流れという永続性、時空を越える壮大な宇宙観など森羅万象との関わりが明らかになり、「川」が人びとに与えている存在の大きさに気が付くことができたように思います。
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◆第3期「DIALOGUESはしのまち」
第3期「DIALOGUESはしのまち」は、サム・ストッカー(ロンドン/東京)と近藤恵介(東京)による絵画とインスタレーションによるコラボレーション作品でした。ストッカーは、当時、東京藝術大学大学院修士課程(現在、博士課程)に在籍していたこともあり、東京を拠点に活動をしています。したがって、他の2つのチームより日本作家と長い時間を共有できるだろうと考えたのですが、本展に参加することになってから英国と日本を頻繁に行き来せざるえない状況になり、残念ながら長い時間を近藤と共有することはできなかったのが実情でした。それは図らずして、他期間のアーティストたちと条件は一緒になった訳ですが、その難局においても両者が多くの会話を通してコミュニケーションを深めることができたと思います。
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ストッカーは、絵画出身の作家ですが、英国にいるときからインスタレーションを中心に作品を制作している作家です。そして近藤は、日本画を専攻し、日本画の手法や素材を踏襲する表現をしながらも、近代日本画の領域を逸脱するための実験的なアプローチを行ってきました。この両者が、本展を通して出会うことで、平面/立体といったカテゴリーを超越して斬新な表現ができると考えておりました。
両者は、出会いから自作についての丁寧に説明をし、それぞれのアイデアを交換しながら作品を制作していきました。特にストッカーの作品は「DIALOGUES、はし」と題して、明治44年に日本橋が石造になったときの図面や画像資料などを手に入れて、麒麟像の台座部分を抽象的に再構築し、ギャラリー空間の中央に橋をかけたような大きなインスタレーションを設置しました。廃材によって再生された橋は、これまで日本橋が経てきた長い歴史をその形態や造作に刻み込み、さらに作家たちの会話を包括しつつ、大きなダイアローグへと集約されたものといえるでしょう。本作品の根幹を成す“日本橋”を熟知し解体したうえで、再構成させていく手法は、どこかモンドリアンのような抽象絵画のようでもあり、光を追い求めた印象派の絵画のようでもあります。そして、ストッカーと近藤のそれぞれが作品のなかでキャッチボールのごとく軌跡を残しているのも特徴的です。例えば、近藤の絵画のなかに橋の構造体が部分的に描かれていたり、絵画のなかに表出される矩形が、切り絵となって立体のなかに貼り付けられたり、と絵画が立体に寄り添っていく姿が見て取れます。そうした断片的な痕跡は、人体が触れ合うごとく相互関係の記憶を付着させているのでしょう。
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近藤の平面作品「私と状況(DIALOGUES)」は、正方形のパネル(53cmx53cm)を基本とする絵画を複数に連結することで、さまざまに表情を変えていく連作になっています。場合によっては、1点のみ、3点連結、4点連結といった具合です。ギャラリーのどこに展示するのかによって、連結の長さを変更させていくサイトスペシフィックな作品にもなっています。会場の中央を占める巨大な廃材の橋のインスタレーションは、複雑な構成やメッシュ越しに覗きこむことで多彩な景色を提供しています。それと絡む絵画の配置は、鑑賞者の視点のずれや立ち位置によって異なる形態に変容し、絵画に新たな形態や異なる色彩を加えていく作品になっています。つまり、そこに置かれた個々のオブジェや流動する人物などすべての環境を一体化していくスフィア的な作品であり、完全にタブローといった平面を逸脱するものになっています。その反面、視覚化されたすべてのコンテクストを介入させていく画中画の手法を取り入れているともいえるでしょう。彼のストイックな構成や淡い色彩は、アグレッシブな破壊やパラサイト的な侵食を否定するものですが、橋のインスタレーションとの共鳴を余儀なくさせていくことで、複層化された蒔絵のような表現となったともいえるかもしれません。
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◆まとめ
幾重にも複雑な表情を持つ本展覧会は、アーティスト同士の会話や丹念なコミュニケーションが重ねて行われたことで、多彩な表現を加えていることに間違いありません。ニコラ・ブリオーの『関係性の美学』の解釈は、昨今の地域系アートと呼ばれる特定のエリア内におけるコミュニケーションを通した表現に照射してきました。その多くが地域活性化のために重宝されているコミュニケーションを基盤にし、作家と地域住民といった主従関係に期待が込められ、「現代アート」は都合のよいキーワードとして重用されてきたといえるかもしれません。「関係性」という言葉が、容易に使われるようになったのは、ブリオーの思想が市民に理解しやすかったというより、地域のなかで発表されてきた作品が状況証拠のように事実と一致していったからといえるでしょう。
「ダイアローグ」という方法が、この地域で展開されている「関係性」と同義であると判断するのは容易ですが、実際には、もっと率直な構造であり、アノニマスな地域住民というより、ギャラリーという区切られた環境のなかで出会う<作家、キュレーター、観客>といった相対的なコミュニケーションに重きを置いているのです。本来ならば幅広い人達と「関係性」を築くことでアートの影響力を高めるのが重要かもしれませんが、あえて狭域にすることで「美学」に対する深化を求めたといえるでしょう。もちろん、それは内閉化していく後退的なアプローチではありません。わが国の地域プロジェクトが、コミュニティ根ざした作品制作を積極的に推奨してきたことで身近にアートを認知することは容易になってきたかもしれませんし、一見するとアートはわかりやすくなってきたかもしれませんが、依然としてその存在意義は誤解されたままと言わざるえいないのです。
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したがって、今回の「DIALOGUES」は、真摯な姿勢で美術と向き合うことで、わが国の優れた現代美術を深く洞察していこうというものでした。そのため、現代美術の批評を内包した国際美術展であるべきだと考えていました。そして国際文化都市に相応しい東京の中心地である日本橋を舞台にしたことで、地域活性化を枯渇するエリアとは異なるコンテクストを露呈できたと言えると思います。各展覧会には、「ひかり」「かわ」「はし」というテーマが付けられましたが、これらは日本橋にとって誇るべき文化資源でありながら、特定地域のみが有する価値観ではありません。むしろ、どこの地域でもありうる世界共通の有効資源といえるでしょう。今回の展覧会が、その世界共通の文化的価値を深めたと思っています。これまで地域振興のための文化事業は、アートを悪用すると揶揄されてきましたが、それはアートにとって不可欠な美の真価について言及してこなかったからともいえます。また、その真価に対する理論的評価や方法を形成することができないままだからではないでしょうか。すでに地域プロジェクトは成熟期になり、今後につながる国際的価値を求める時期に来ていると言えるでしょう。
本展覧会では、グローバルとローカルといった相対関係を意識し、双方に通用するアーティストを選出していますが、それらはアカデミックな視座とラディカルな表現を併せもつ、美の真価につながるアートを紹介できただと自負しています。それによって斬新性に満ちた重層的なコンテクストを表出させることができ、元来の<アートの魅力>を先駆的に紹介できたと信じるものです。
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※前年に富井大裕個展「繊維街 日本橋」(2014年5月25日~6月14日)をプレ企画としてAAN主催で開催しているので、NICAでの展覧会は2回目の開催でした。
※「埼玉伝統工芸会館」(小川町)和紙工房長・谷野裕子氏より「大福帳」を2冊借用しました。どちらも明治・大正時代の実際に使われていた「大福帳」。谷野氏は、国指定の重要無形文化財技術継承者として、個人の伝統工房「手漉き和紙たにの」を運営しています。※ジョン・ササキは、「遠足プロジェクト」(カナダx日本共同事業)というアーティスト・イニシアティヴの東日本大震災復興プロジェクト(2011年-現在)に参加し、廃棄処分になる予定だった中古のランドセルをアート作品にしていく事業に参加した。総勢80人を超えるアーティストが日加合同で制作を行い日本とカナダで巡回展を実施した(現在、カナダ巡回中)。2014年に本事業の一環で宮城県女川町にてワークショップを実施するため4人のカナダ人作家と一緒に来日し、「遠足プロジェクト」に関連した「神山いいね!」(AAN主催)という徳島県神山町の子どもワークショップに参加した。
※映像作品:Title: Under the Kamejima Bridge、Year:2015、Material: HD Video with sound, salvaged objects、Duration:14mins、Size: Dimensions Variable、Artists:Jon Sasaki, Hiroaki Morita
※ペットボトル作品:Title: Free water from Kamejima River、Year:2015、Material: Water, Bottles、Size: Dimensions Variable
※近藤恵介作品――「私と状況(DIALOGUES,1)」(S10パネル2点:53×106cm/岩絵具,水干,膠,墨,鳥の子紙,板,2015)、「私とその状況(DIALOGUES,2)」(S10パネル4点:53×212cm/同前)、「私とその状況(DIALOGUES,3)」(S10:53×53cm/岩絵具,水干,膠,墨,鳥の子紙,2015)
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# by a-a-n | 2015-05-11 21:34 | ドキュメント | Comments(0)
Jane's Walk @向島学会
25カ国134都市で同時開催のまち歩きイベント
今回は、東京スカイツリーのたもとに広がる路地のまち・向島
普段とは違った目で探索して映像化しませんか?

 『アメリカ大都市の死と再生』(1961年)の著者ジェイン・ジェイコブズは20世紀後半の都市思想においてもっとも影響力があった著作家/運動家のひとりです。彼女の誕生日である5月4日前後に、北アメリカおよび世界各地でジェインズ・ウォークと呼ばれるイベントが開催されています。昨年は25カ国134都市で開催されました。日本では昨年、東京・中野で開催されたのが最初で、今年は東京スカイツリーのある墨田区の向島界隈で開催します。
 すみだ生涯学習センター(ユートリア)を起点に、周辺に広がる路地のまちをいろいろな視点から小グループで歩きます。一日の終わりには、見慣れた風景のまったく異なった姿が見えることでしょう。

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ジェーンズ・ウオーク(Jane’s Walk) 
当日のスケジュール  
9:30~  受付開始 10:00までに全員集合
10:00~ ガイダンス ジェーンズ・ウオーク(Jane’s Walk)の進め方
10:10~ 各グループからWalkingテーマのプレゼン(各2分程度)→ 希望コース提出(定員を超える場合は抽選になります)
10:45~ レクチャー Jane Jacobの精神「都市を活性化させるための4原則について」
11:00~  グループメンバー発表それぞれのグループに分かれ出発  途中のお店で昼食。
14:00~  ユートリアに集合 成果発表の準備 エントランスホールなど
15:00~ 成果発表(1グループ10分)
16:20~ Jane’s Walk 向島  総括 17:00 解散  (懇親会あり、会費制)

形式:テーマごとにガイドが1〜2名付き、10名以内の小グループで歩く。ウォーキング終了後、発見したことを写真や映像を使って発表。

ガイド: 佐原滋元(向島学会)、高木新太郎(向島学会)、曽我高明(向島学会)、北條元康(向島学会)、高原純子(向島学会)、阿部洋一(向島学会)、嘉藤笑子(向島学会)、末永健治(向島学会)、山本俊哉(向島学会・明治大学)、倉石信乃(明治大学)、管啓次郎(明治大学)、鈴木俊治(明治大学)、福地健太郎(明治大学)斎藤佳(ドンツキ協会)、原田豊(科学警察研究所)等

参加費:無料(※ 昼食は各自実費でご負担ください。一部のコースは交通費がかかる場合があります。)

主催:特定非営利活動法人向島学会、明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻
後援・協力:一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズ、ドンツキ協会、ポスト工務店 Bughaus

問い合せ先:明治大学理工学部建築学科都市計画研究室 担当:向山直登
    044-934-7390(tel&fax)  http://www.isc.meiji.ac.jp/~onepiece/

注意事項:当日会場に集まっていただいた方は全員参加可能ですが、希望のファシリテーターのコースに必ず参加できるとは限りません。また、主催者の都合により、開催内容が一部変更される場合があります。どうぞご了承ください。
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# by a-a-n | 2015-04-26 23:59 | Comments(0)
なじょも十日町 by AAキッチン【ツールド妻有を知ろう!】
AAキッチンが、久々に登場!豪雪地帯の越後妻有から「なじょも十日町」イベントを開催します。
今回は、木曜日に開催しますので、お間違いのないようにお願いします♪

◆なじょも十日町 by AAキッチン vol.12◆
[ツールド妻有を知ろう!]
日時:2015年4月23日(木)
   19:00-22:00
料金:1500円(フード+映画鑑賞)
定員:25名
会場:Creative Hub131 3F 社員食堂
   東京都中央区日本橋大伝馬町13-1

申込方法:info@a-a-n.org にいくよ!と連絡をいただければ確実です。直接に会場に来ていただいても大丈夫です。

今年も「大地の芸術祭:越後妻有トリエンナーレ」の公式イベントとして「ツールド妻有2015」が開催されます。最初の立ち上げから今年のツールド妻有まで実行委員である伊藤嘉朗(建築家)をお招きして、ツールド妻有の全貌を紹介していただきます。
特別に「ツールド妻有」のドキュメンタリーDVD『名前のない道』(監督:泉山朗土 プロデューサー:相澤久美 企画:伊藤嘉朗 相澤久美)40分を上映します!!

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お食事は、お馴染みのBabさん(十日町市公式アンバサダー)がへぎ蕎麦と地域限定野菜の天ぷらなどを振る舞います!地酒もあるよ♪

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★★★へぎ蕎麦のつくり方を伝授します!
へぎ蕎麦や天ぷらつくりに参加したいひとは、18:00くらいに来場してください。

AAキッチンは、みんなでつくる、たべる、かたづける、が基本のフードコミュニケーションです。みんなでワイワイしながら、楽しみましょう!!

「ツールド妻有」とは?
越後妻有の信濃川流域に広がるこの地域では「越後妻有アートトリエンナーレ」が3年毎に開催されています。サイクリングイベント「Tour de Tsumari(ツールド妻有)」も参加作品のひとつとして開催されてきました。600人の走者が黄色のジャージを纏い、点在する作品や集落をつなぎ野山を疾走するいわば動く彫刻として開催しています。運営組織やサポーターは住民らが主体的に行い、沿道では老若男女が声援を送ります。参加者は住民の暖かい歓迎と美味しい地元料理、美しい風景に魅了されるイベント。
http://tdtsumari.appspot.com/

『名前のない道』DVD40分
「ツールド妻有」は参加者や地域住民に親しまれ地域の年中行事になりつつあるサイクル・イベントです。それを支える集落の人々や、繰り返される四季の営み、自然を伝える記録映像を紹介します。
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伊藤嘉朗プロフィール
1993 東京芸術大学大学院修士課程修了
1993-1995 設計組織アモルフ
1995-1997 團紀彦建築設計事務所
1997-2000 東京芸術大学美術学部建築科 非常勤講師
1998-2004 御茶ノ水美術専門学校 非常勤講師
1999- 東京芝浦工業大学建築学科 非常勤講師
2000 伊藤嘉朗建築設計事務所設立

主な作品 
小さな家 越後妻有アートトリエンナーレ 新潟
ねじれ屋根の家 木造住宅 北海道 
森に消える家 木造住宅 長野
swim to the mountain 住宅・事務所・倉庫 山梨
牛窓のアトリエ 木造アトリエ付き住宅 岡山
Tour de Tsumari 越後妻有アートトリエンナーレ 新潟
町屋small small tower 住宅 東京
千住屋台計画 東京
投稿
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# by a-a-n | 2015-04-23 00:00 | イベント | Comments(0)
DIALOGUES展「はしのまち」レビュー
1月から3月まで長期に渡って開催してきたDIALOGUES展が終了しました。
第3期「はしのまち」のレビュー記事ができましたのでアップします。

DIALOGUES展 ~ダブルスx3連続国際展~
第3回展2015年2月27日(金)-3月14日(土)
サム・ストッカー(イギリス・東京) x 近藤恵介(東京)
「はしのまち」
会場:NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts

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 NICA(Nihonbashi Institute of Contemporary Arts)で開催されている第3回「DIALOGUES展~ダブルス×3連続国際展~」は、「はしのまち」(2015年2月27日~3月14日)をテーマに、サム・ストッカー(ロンドン・イギリス/東京・日本)と近藤恵介(東京・日本)による展示が、キュレーター嘉藤笑子によって開催されました。
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 オープニング・レセプションでは、上運天純一/池田哲、ジャック・マックレーン、アキレス・ハッジス/レネ・ヴァン・ムンステル/サム・ストッカーら3組によるライヴ・パフォーマンスが展開され、展示スペースはノイズ・ミュージックと不条理劇からなる仲春の宴を迎えることとなりました。池田哲のエレクトリック・ギターと上運天純一のサクソフォンによる至極のサウンド・パフォーマンスが行われました。その後、グリーンとオレンジのマスクをかぶった「悲しいピエロ(Sad Clown)」に扮したジャック・マックレーンが登場し、バルーンに火をつけて破裂させるというコミカルなハプニング・ショーを演出し、展示スペースを演劇空間へと変えていきました。最後に登場した3人のユニットは、アキレス・ハッジスが自家製エレクトリック・インストゥルメントを弾くと、レネ・ヴァン・ムンステルのバロック・チェロが応答し、サム・ストッカーが自作の「DIALOGUESはし」に関わる言葉をパワフルに叫ぶのでした。こうした華やかなパフォーマンスのよるアンサンブルが観衆の歓談のなかで披露されました。
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 本展覧会は、サム・ストッカーの「DIALOGUESはし」と題されたインスタレーション作品と近藤恵介の「私とその状況(DIALOGUES)」と題された絵画作品3点から構成されています。サム・ストッカーの立体は、1911年に石造二連アーチ橋として完成した日本橋の設計図から導かれたドローイングに基づいて、過去に使用してきた作品素材や身近にあった廃材、そして「第1回 DIALOGUES展(“ひかりのまち”)」からリユースした角材など、誰かの手を経て、その記憶が残る木材や化学繊維などがマテリアルとして使われました。日本橋の風景が形式的に抽出され、日本橋川と首都高速道路からなる垂直的な空間構成と橋脚やビル群などからなる水平的な空間構成が重ね合わされ、格子状の建造物は絵画的な平面として再構成されていることがわかります。オープニングでストッカーが朗読した引用文(付記1を参照)や流用された木材の腐食や損傷からは、明治期の近代化から昭和期の高度経済成長を経て現在へと至る歴史的な時間性が凝集していることもわかりました。
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 その一方で、近藤恵介の「私とその状況(DIALOGUES)」と題された3作品では、江戸切り子のように明晰で繊細に描写された日常品は脱臼された線の交差と時とともに変わる色彩の区画を浮遊します。鳥の子紙を張ったパネルに描かれた「私とその状況(DIALOGUES,1)」では、岩絵具、水干、膠で塗られ、また水で洗い落とされた、薄く淡い肌色、桜色、若芽色、白菫色といった淡みのある色彩と虹色、若菜色、草色、菫色、薄墨色といった深みのある色彩は、砂色あるいは鳥の子色の区画線を越え、パネル間にできたスプリットの影を跨いで遷移するなかで瑞々しさをまといます。また、4連パネルからなる「私とその状況(DIALOGUES,2)」では、彩色の区画線は抽象化された屏風の内外を区切る縁に、またスプリットの影はパネルを連ねる大背(蝶番)に見立てられ、素色、乳白色、褐色のモザイクの大鉢から伸びる常盤色の蘇鉄や均整のとれたケースに配された水色や空色のモザイクのコップなどが描かれた画面を扇として、また全体では一隻四曲の屏風のようなものとして成立させます。
 単パネルの「私とその状況(DIALOGUES,3)」では、砂色または鳥の子色の線は区画線、縁、大背などを併せ含んだ桟となり、サム・ストッカーの構造物を模した憲法色の格子や瑠璃色や淡藤色のモザイクの小器といった日常品の前景/後景に折り込まれた枠(フレーム)として形式化されることになります。「私とその状況(DIALOGUES)」をめぐる3作品では、その表題が示すように、自我と時間/空間の応答関係は線と面からなる2次元的な状況において形式化され、置換され、転換され、変換されることで、その時々の様相を変えていきます。その結果として、江戸期の数寄屋造りから近現代期のフォルマリズムへと進行し、鎌倉期の屏風、平安期の絵巻物や借景へと遡行するなかで、「枠(フレーム)」という美学上の古典的なモチーフの多義性は再-定式化され、「日本の絵画」をめぐる歴史は軽やかに更新されることになります。
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 また、後述するウォーキング/トーキングのイベントに参加することで、本展示における2人の作品の間で交わされた「DIALOGUES」への解釈はより広がることとなります。サム・ストッカーの「DIALOGUES はし」と近藤恵介の「私とその状況(DIALOGUES)」が対置された2人展としての「DIALOGUES」の展示スペースでは、都市の風景や意匠は格子や枠からなるインスタレーション/絵画としてのアートへと抽象化され、江戸期から現在へと至る歴史的な風景の構造が再構成されました。栄耀を極めた江戸期の都を生きた人々、明治期の維新と大正期の民主化に湧く帝都を駆け抜けた人々、昭和期の戦争と震災の闇を生きのびた人々、そして平成期の情報都市のなかで平坦な消費を繰り返す人々。歴史的な風景は、腐食し、傷を孕んだ木材とともに、あるいは深みのある瑞々しい絵具の輝きとともに、それぞれの時代の都市空間を彩る四季折々の気配へと姿を変えて、展示スペースのなかで構造化されていきます。
 展示スペース内で試みられたインスタレーションと絵画の紙片の実験的な組み合わせは、「DIALOGUES」の時間の滞留を感じさせる格子状の建造物のなかに色彩感の豊かな絵画作品としての広がりを備えさせ、「私とその状況(DIALOGUES)」の枠(フレーム)が多様な仕方で織り込まれた絵画のなかに立体感のあるインスタレーション作品としての奥行きをもたらします。また、インスタレーションと絵画の格子/枠は日本橋一円の都市風景を純粋な入れ子空間として現象させることで、都市のマトリクス(母体-原型)のようになって観衆を包み込みます。その都市のマトリクスは来るべき公共圏の青地図となって、日本橋という地域の忘れられた過去とまだ見ることのない未来の階梯となり、格子/枠の縁端の向こう側に交通空間としての風景を出現させることになりました。

 さて、本会期中に「はしを探るアートのはなし」と題されたイベントが開催されました。このイベントはガイドを行う嘉藤笑子、およびサム・ストッカー、近藤恵介、スザンナ・ハートリッチ(アーティスト)、丹羽良徳(アーティスト)、緒方恵一(NPOアートフル・アクション代表理事)らとともに、日本橋をめぐるエピソードや周辺アイテムを見極めていきながら、「はしのまち」の展示作品と現実の日本橋エリアとの関係性を探るものでした。初めに街歩きをしてから、Creative Hub131の3階「社員食堂」にて、アーティストらの意見交換やウォーキングを振り返る「クロストーク」が行われました。
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 「クロストーク」では、キュレーターやアーティストなどによるプレゼンテーションがなされ、カジュアルな雰囲気のなかでディスカッションや交流会が行われました。まず、嘉藤笑子は葛飾北斎の「富嶽三十六景」(1823-1835年)や歌川(安藤)広重の「名所江戸百景」(1856-1858年)のなかで表象されてきた日本橋/江戸橋をもとに、江戸時代の浮世絵における遠近感の表現について解説しました。また、明治時代の写真や資料を通じて、大がかりな橋の架け替えと時代の変遷に言及しながら、近世への決別や殖産興業を中心とする近代化のうねりなどについて解説しました。そして「名所江戸百景」のなかで描かれた「大てんま町木綿店」(第7景)や現在の大丸の起源となる「大伝馬町ごふく店」(第75景)といった2枚の大伝馬町の浮世絵や安政5(1858)年の古地図などとともに、NICAやCreative Hub 131の所在地を約160年前の風景に寄せて振り返りました。次に、スザンナ・ハートリッチは2012年にトーキョーワンダーサイト青山で林智子(アーティスト)とジュリアン・ウォラル(建築史・都市史)とともに行った「QUEST FOR A TOKYO IDYLL WORKSHOP」のプレゼンテーションをあらためて供覧し、東京から眺められる富士山と都市風景のかかわりをめぐるリサーチから、ラテン語で「形式」や「心象」を指す“idyll”(英語では「田園風景」「幸福」「平和」などの意)というコンセプトを抽出したうえで、都市風景の知覚や体験を地域の歴史認識とともに集合的な記憶や未来像へと空間的/時間的に転換するための手法・装置の構想について説明しました。
 サム・ストッカーはペインティングやデジタル・ヴィデオといったメディアでの制作経験をふまえて、「名所江戸百景」に描かれた火の見櫓、安政期の古地図、日本橋の設計図のアーカイヴなどに見られる格子(グリッド)への関心を示し、本展示での近藤恵介との対話に基づいた協働作業のプロセスについて述べると、近藤恵介はサム・ストッカーのインスタレーション作品から読み取った「日本橋」の抽象的なイメージをもとに建築物の構造や都市風景の意匠からなる多層的なレイヤーを配置・構成するという絵画作品における制作のプロセスについて紹介しました。本展示の制作プロセスへの応答にかえて、緒方恵一は映像的建築(シネマティック・アーキテクチャ)を探求・表現する視点から、日本橋一円における観光の中心である日本橋と交通網の中心である江戸橋を「インターセクション」として機能する都市風景として解釈したうえで、本展示の試みを建築/絵画の都市風景への領域横断的な試みとして論評しました。
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 そして、丹羽良徳(アーティスト)は国内外でイデオロギーや価値の交換または揚棄などをめぐる社会的な介入をともなうパフォーマンスを行ってきた経験をふまえて、「日本橋」とかかれたプレートが日本橋自体にではなく高架の首都高速道路に設置されていたというウォーキング・イベントでの気づきをもとにして、グローバリゼーション下におけるダイナミックな資本の運動とともに変容する都市空間や人々の生活と物語の多義性について言及しました。その他にも、参加者からは、制作・展示・ウォーキング・ディスカッションという一連のイベントのプロセスのなかで、アーティスト、オーディエンス、キュレーターそれぞれが他者との対話や現実の風景から創発される偶然性(コンティンジェンシー)に触発されることで、アートとコンセプトとコンテクストの関係性、そして場所の固有性(サイト・スペシフィシティ)とそれを支える地域性(ローカリティ)などについて再解釈を行い、より多様的な解釈に開かれた表現活動を行うことが可能になるといったコメントなどが寄せられました。

 最後に、嘉藤笑子は本展示について、アーティストの2人のコンストラクションへの関心に基づいて絵画と彫刻というメディアの対話を試みるなかで、空間表現として平面作品へのアプローチが可能であること、インスタレーションでありながらも絵画に近づくことが可能であることなどについて述べました。こうした対話のシチュエーションやコンディションをつくるうえで、ウォーキングやディスカッションといった付随するイベントを開催できたことをポジティブに評価し、全体の議論をまとめました。さらに、「ひかり」「かわ」「はし」をテーマとした計3回からなる本DIALOGUES展を振り返り、「日本橋」という固有の地域性にとらわれることなく、地域プロジェクトをグローバルな視点へと広げるなかで、本格的な国際展を行えたと話し、今後のDIALOGUES展を継続する必要性について語りました。
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<付記1>近藤恵介作品――「私と状況(DIALOGUES,1)」(S10パネル2点:53×106cm/岩絵具,水干,膠,墨,鳥の子紙,板,2015)、「私とその状況(DIALOGUES,2)」(S10パネル4点:53×212cm/同前)、「私とその状況(DIALOGUES,3)」(S10:53×53cm/岩絵具,水干,膠,墨,鳥の子紙,2015)

<付記2>サム・ストッカーのパフォーマンスでは、以下の文献が選ばれ、朗読されました。日本橋が石造二連アーチ橋として完成した1911年と首都高速道路が完成した1964年という西暦に主に着目して、『白へびの巣(The Lair of The White Worm)』(ブラム・ストッカー/1911年)『メディアを理解すること:人間の拡張(Understanding Media: The Extensions of Man)』(マーシャル・マクルーハン/1964年)『かくこと(In His Own Write)』(ジョン・レノン/1964年)『アートにおける精神性について(Concerning the Spiritual in Art)』(ワシリー・カンディンスキー/1911年)、またウィンストン・チャーチルによる外国人法(Alien’s Bill)についての言及(1911年)やエリザベス・レコンテのインタビュー「アートから劇場へ(Art into Theatre)」(1993年,1995年)などの引用をもとに、パフォーマンスが行われました。

<付記3>日本橋周辺のウォーキングは、日本橋魚河岸跡(乙姫広場)⇒日本橋(装飾顧問:妻木頼黄、装飾:渡辺長男ほか)⇒三越前駅(東京メトロ)構内「日本橋周辺 航空写真」(1944年・2006年)⇒三越日本橋本店「+ART ARTとある暮らし」⇒「熈代勝覧」(ベルリン国立アジア美術館所蔵、名橋「日本橋」保存会・日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会)⇒COREDO室町、福徳神社(芽吹神社)「豊年萬作之圖」(五風亭貞虎作/福徳神社所蔵)⇒小津和紙⇒寶田恵比寿神社⇒馬込勘解由屋敷跡⇒蔦屋重三郎「耕書堂」⇒NICA(地下1階)展覧会に到着するコースとなりました。

※計3回のDIALOGUES展レビューは嘉藤笑子(キュレーター)からの依頼を受けて、F. アツミ(編集・批評/Art-Phil)によって執筆されました。

(DIALOGUES展編集室/Art-Phil)
Photos of the exhibition by Michiko Isono
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# by a-a-n | 2015-04-15 18:44 | Comments(0)
第3期DIALOGUES展「はしのまち」2月27日開始!
English texts is following as below,
DIALOGUES展 ~ダブルスx3連続国際展~
★第3回展2015年2月27日(金)-3月14日(土)
サム・ストッカー(イギリス・東京) x 近藤恵介(東京)


「はしのまち」
27th Feb.-14th March 2015

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日本橋の地名は、その名のとおり<橋>から来ています。この橋が江戸時代から町の要所として五代街道の起点になっていることは多くの人がご存知でしょう。そして、その存在は人々を魅了し続け、多くの芸術作品に取り上げられてきました。<橋>という構造物が結ぶことや繋ぐことの役割であることは明白です。そして、実際に多くの人々の歩みを歴史のなかで繋いできた存在なのです。
今回は、橋の新解釈ともなる軽やかな建築的な側面と絵画的な側面が、アーティストの作品となって結び繋がることになるでしょう。

★オープニング・レセプション
2015年2月27日(金)18:00-20:00
会場:NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
パフォーマンス:上運天純一、池田哲、ジャック・マリーン、アキレス・ハッジ、レネ・ヴァン・ムンステ
ル、サム・ストッカーなど。
※入場には、パスポート(500円)が必要です。

<展覧会情報>
◎各展覧会:10日間
◎開館時間:11:00‐18:00 初回金曜日18:00‐20:00(オープニング・レセプション)
◎定休日:日曜日・月曜日・火曜日(週休3日間)
◎入場料:500円(全展共通パスポート/期間中は再入場可)
◎クロス・トーク(参加アーティスト x キュレーター):1,000円(パスポート割引500円)
※1月17日、2月7日、2月28日(全て土曜日16:00‐18:00)

★スペシャル・イベント「はしを探るアートのはなし」
2015年2月28日(土)14:30-18:00

日本橋は、その様相をさまざまに変えながら400年間という歴史を刻みながら近世と近代、そして現代までを繋ぐかけはしとなってきました。そこでメタファーとしての<橋>を探してみましょう。例えば浮世絵に描かれた「江戸百景」や「熈代勝覧」といった栄華を極めた時代や、明治以降の錦絵で描かれたモダンな街並みや情景を現代の街並みと重ね合わせて歩きましょう。その方法は、歴史家や専門家の知識や視点というよりアーティストやキュレーターが気になる<はし>を探していく作業になります。みなさんと一緒にそれぞれの気づきを共有しましょう。

【第1部】日本橋ウォーキング14:30-16:00
集合:「日本橋」麒麟の像の前(最寄駅:東西線日本橋駅、銀座線三越前駅)@14:30
※定員20名(まち歩きのみ):事務局メール(info@a-a-n.org)まで申込ください。
※日本橋からNICAまで街歩きを実施。「はしのまち」鑑賞後にトーク会場へ。
※雨天決行(荒天中止)
ガイド:近藤恵介&サム・ストッカー、丹羽良徳(アーティスト)、スザンナ・ハートリッチ(アーティスト)、緒方恵一(NPOアートフル・アクション代表理事)、嘉藤笑子

【第2部】クロス・トーク16:00−18:00
会場:Creative Hub131 3階「社員食堂」
入場料:1,000円(ウォーキング参加費含む)、パスポート+ワンドリンク付
パネリスト:街歩きのガイド全員
※クロス・トークから参加可能、時間内に展覧会をご覧いただけます。

★クロージング・パーティ
日時:2015年3月14日(土)18:00-20:00
会場:NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
入場料:1,000円(パスポートのある方は500円)+ドリンク&フード付き

PART 3サム・ストッカー(Sam Stocker) イギリス/東京
1977年英国ロンドン市生まれ。英国レディング大学美術学部を卒業後、エディンバラ・カレッジ・オブ・アートにてポストグラデュエートディプロマを取得。現在、東京藝術大学大学院に在籍中。ストッカーは、空間を構成する構造や形態を読み解き、そこに関わる室内外の要素、建具や支持体、付随する構成物のすべてを読み替えていくことで、新たな構造体を創出していく手法をとっています。それは、室内に限らず野外においても同様な手法を用いていますが、最近では、より広がりを見せていて街全体や遠隔区域を結び付けていくような、”環境”ともいえる大きなスケールをひとつの構造体に変換させていく試みを行っています。ストッカーは、絵画を専攻したことで、限られた2次元の世界に新たな基軸を加えていくことに可能性を見出しているのかもしれません。それによって、これまで「インスタレーション」と呼ばれてきた作品とは異なるコンテクストを提供し、新たな表現に取り組んでいるといえるでしょう。
http://www.samstocker.com/

PART3 近藤恵介(東京)
Keisuke Kondo(Tokyo)

1981年、福岡県生まれ。東京藝術大学で日本画を学んだ近藤は、その保守的な校風にそぐわない現代的な絵画を制作してきました。やまと絵などの古画から引用した大胆な構図のなかに、作家自身の日常生活に近しいものや今日的な表現を併置させています。近年では絵画という平面領域を拡張しようと、画中にインスタレーション的空間を招き入れ、その「場」を跳躍台として、絵画的な身振りから人間の営み全体を考えます。そのことは、新しい「日本画」を独創することとも通底していると言えるでしょう。
http://aanet.exblog.jp/21527558/

Art Autonomy Network [AAN] 2015
“DIALOGUES”
Doubles x 3 parts exhibitions


主催:Art Autonomy Network[AAN]
協力:NICA: Nihonbashi Institution of Contemporary Arts, N STUDIO,Inc.
後援:カナダ大使館、ブリティッシュ・カウンシル
助成:文化庁平成26年度文化庁優れた現代美術の海外発信促進事業
グレイトブリテン・ササカワ財団

Art Autonomy Network [AAN] 2015
“DIALOGUES”

Doubles x 3 parts exhibitions
The International Contemporary Art Exhibition “DIALOGUES” is the three separated
exhibitions by six emerging artists who are paired for each exhibition.
By having two artists as a combination, it will encourage and challenge each artist to
enhance his/her knowledge and skills to create one original program that will lead to global
art scene. Through out the exhibition, we are having new challenges.

● Each exhibition is a combination program of two domestic and international artists who
meet each other for the first time for this exhibition.
● Each exhibition is created based on communications between two artists.
● Each artist create new works to represent “Nihonbashi” through his/her perspective.
● The people who involves in each process create each exhibition.
■The 3rd Exhibition: “Bridge Town” (Hashi no Machi)

Sam Stocker(London/Tokyo) x Keisuke Kondo(Tokyo)

The town name “Nihonbashi” is actually derived from the particular “bridge”
It is well known that the bridge was a starting point of five major routes (Godaikaido) since
Edo era. The bridge has attracted many people and lots of artists depicted the bridge in
their art works. It is obvious that the role of bridge, one of the forms of construction, is to
connect and combine. And, in fact, it has connected and witnessed many people’s way in
its history.

Part3: 27th Feb. – 14st March. 2015 (10 days)
Every Wednesday, Thursday, Friday, Saturday
Venue: NICA: Nihonbashi Contemporary Arts
Address: PUBLICUS B1 13-1 Odemacho Nihonbashi Chuo-ku, Tokyo
Admission:500yen (passport valid for all parts)
Open Hours: 11:00-18:00

★Opening Reception: 27th Feb. 18:00-20:00
Performances: Junichi Kamiunten, Satoshi Ikeda, Jack McLern courtesy of The Container,
Aquiles Hadjis, Rene Van Munster, Sam Stocker

★Researching into Nihonbashi through Walking/Artists Talk: 28th Feb. 14:30 – 18:00
Nihonbashi (Nihonbashi Bridge) over the Nihonbashi River is a symbol of the area
Nihonbashi. Nihonbashi Bridge has appeared as a bridge that connects the modern and
contemporary history with its history of 400 years. So now, let us find a “bridge” as a
metaphor. As you walk, try capturing the flourishing era as depicted in the Ukiyoe prints, as “One Hundred view of Edo” and “Kidai shoran”, and modern street scenery depicted in the Nishikie prints of Meiji era in Today’s scenery. That is “bridge finding” of artists and
curators in different perspectives from that of historians and specialists. Shall we make
share what you find?

【Part I】Walking Nihonbashi
Meeting Place at the statue of Kirin at Nihonbashi @14:30-16:00
Please contact us to make book for the walking only: info@a-a-n.org
After viewing of the exhibition[Bridge Town]at NICA, continue into the talk.

【Part II】Cross Talk: Artists x Curator
Venue: Creative Hub 131 3rd Floor. (13-1 Odenmacho Nihonbashi Chuo-ku, TOKYO)
Charge: 1,000yen for Passport+ One drink (incld. walking programme)
Special Guests: Yoshinori Niwa(artist),Susanna Hertrich(artist),Keiichi Ogata(NPO Artfull
Action) as same as the walking programme.

★Closing Party: 14th March 18:00-20:00
1,000 yen (incld. Passport, Food & drinks)
Curator: Emiko Kato
Organiser:Art Autonomy Network[AAN]
Cooperation: NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts, N STUDIO Inc.
Supporter: British Council Tokyo, Canada Embassy
Grant: the Agency of Cultural Affairs, Great Britain Sasakawa Foundation
URL: http://nicatokyo.com/
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# by a-a-n | 2015-03-20 01:00 | 展覧会 | Comments(0)
第2期DIALOGUES展「かわのまち」レビュー
第2回DIALOGUES展「かわのまち」 レビュー

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 NICA(Nihonbashi Institute of Contemporary Arts)で開催されている第2回「DIALOGUES展~ダブルス×3連続国際展~」では「かわのまち」をテーマに、ジョン・ササキ(トロント・カナダ)と森田浩彰(東京・日本)による展示が行われました(キュレーター:嘉藤笑子)。

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 ジョン・ササキと森田浩彰は本展に先立ち、日本橋にある亀島橋(東京都中央区)の下で、水中ロボットを用いて川底に滞積している廃物を探索しました。朽ちた流木、石灰化したコンクリート塊、GREEN HOUSE製のDVDプレーヤー(未使用)、LANケーブル(緑)、タバコの吸殻が入ったプラスチック瓶、GIANT製のマウンテンバイク、SONY製のアンテナ付きラジオカセット、ピンク色のスカルが施された長財布、鉄製のパイプ、自動車用のゴムタイヤ、紺色の作業服(上着)、ガラスの小型モニターと思われるものなど、川岸に引き上げられたさまざまな廃物は、展示スペースを構成するファウンド・オブジェクト(発見されたもの[オブジェ])へと姿を変えて展示されることになります。また、亀島川で採取された水はペットボトルに封入され、「亀島川の水です。ご自由にお持ち帰り下さい」(“FREE WATER FROM KAMEJIMA RIVER”)という掲示とともに展示され、観衆には無料で持ち帰ることが許可されています。

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 展示スペースでは大型スクリーンに亀島川での一連の作業を記録したビデオ映像(約15分間)が映写され、引き揚げられた瓦礫や廃材をめぐって声をかけ合う2人のアーティストと協力者たち、そして時に差し挟まれる街なかの人々の面影とともに、亀島川周辺の風景を身近に感じることができます。水中ロボットからの映像をモニターで確認するジョン・ササキ、ノートパソコンと水中ロボットをつなぐコードを手繰りよせる森田浩彰、廃物を引き上げるダイバーたち、そして橋上から川岸を覗き込む歩行者たち。淡々としたカメラワークから眺められた亀島川の風景の向こうに、市民とアーティストたちの間に生まれる目に見えない緊張関係を見てとれるようでした。

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トークイベント「かわをめぐるアートのはなし」07/02/2015

 オープニングの翌日に社員食堂(Creative hub 131)で行われたイベント「かわをめぐるアートのはなし」では、ジョン・ササキ、森田浩彰、嘉藤笑子とともに、井出玄一(ボートピープル・アソシエーション)、藤井政人(国土交通省)、中崎 透(アーティスト)、武藤 勇(N-mark)が参加しました。「かわ」の現在的な状況について、それぞれのユニークな活動の視点から歴史、環境、行政規制などを題材にした議論が交わされました。

ジョン・ササキは日本との関わりを個人的な視点から振り返りながら、カナダと日本の「かわ」を巡る文化史的なエピソードを紹介しました。また、亀島川にかかる亀島橋を”ブリッジ”ということばに置き換えて象徴化することで、文化や歴史、人々をつなぐ架け橋として捉えていると話し、本プロジェクトをその「実践的なクリエイティヴィティ」として位置づけました。その一方で、森田浩彰は見えないものを見えるようにするというアーティストとしての存在意義に触れつつ、「かわ」を政治的に排除されてきたものや人々の歴史=物語を見直すための表象空間として見立てていきました。その後、嘉藤笑子はキュレーターの視点から、明治期以降の近代化と震災や戦災を経て、「かわ」が見たくないものを覆い隠す場所となっていったことに触れ、アーティストが「かわ」とともにアート作品をつくったり、アート・プロジェクトを行うことで、本来は誰のものでもない「かわ」の公共性を新たに描きなおせるのではないかと語りかけていきました。

 また、井出玄一が河川をボートでピクニックのようにめぐる「ボートピープル」の活動報告とともに江戸時代の「かわ」では人々が川辺に向かって商業活動を営んでいた歴史について話すと、藤井政人は水辺を基点としたまちづくりを提案する「ミズベリング」のプロジェクトの紹介とともに「かわ」にかかわるアート・プロジェクトなどから市民・企業・行政が協働して取り組むソーシャル・デザインの可能性を提示しました。さらに、中崎 透は「プロジェクトFUKUSHIMA!」で人々がもちよった生地をつなぎ合わせる「福島大風呂敷」、「水都OSAKA」や「黄金町バザール」などでの制作活動を振り返って、水や水辺にかかわるアート・プロジェクトの実際から見えてきた「かわ」をとりまく複雑な公共機関の管理体制や手続きを指摘したのに対して、武藤勇は現代アートを市民社会に息づかせる「中川運河リミコライン・アートプロジェクト」の活動報告とともに、市民や企業の関わりあいから広がるアート・ネットワークのつくり方について紹介しました。

その他にも、生活汚水や工業排水が流れ込む河川、村落などから排除された人々が住む川辺、ホームレス(浮浪者)がテントを広げて休む河川敷、あるいは東京オリンピックのために消えゆく未整備の護岸など、近代の都市生活において「かわ」が大衆生活を営む人々に対してネガティブな印象を与えるダークサイドとして認識されていたというエピソードがさまざまなかたちで語られ、「かわ」のもつ周辺性や境界性が浮かび上がることにもなりました。

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 トークイベントを振り返ったうえで、もう一度、展示スペースのファウンド・オブジェクトに眼を向けてみましょう。冷たく暗い川底から引き上げられた異物は江戸-東京-日本をめぐる歴史の証言となって、あらためて陽光の下に照らし出され、アートとして解釈されることになります。ファウンド・オブジェクトの布置を辿る観衆の歩みとともに、日本の近代史を織りなす都市空間と人々の関係性、あるいは「かわ」の文化や歴史は、思い思いの物語となって見なおされることになるでしょう。
 21世紀の「かわ」の水は、近代化を押し進めた20世紀と同じように不都合な真実を覆い隠す“禊ぎの水”であり続けるのでしょうか、それとも今は暗渠のように見えなくなってしまった「かわ」の可能性を新たに引き出す“救いの水”になるのでしょうか。アーティストから「フリーウォーター」として提供される亀島橋の水の使いみちと同じように、「かわ」をめぐるそこから先の物語は会場に訪れた観衆とともにあるのかもしれません。
(DIALOGUES展編集室/Art-Phil)
Photo by Michiko Isono
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# by a-a-n | 2015-03-18 00:01 | ドキュメント | Comments(0)
DIALOGUES展「かわのまち」2月6日開始!
DIALOGUES展「かわのまち」
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このたび、NICAグランド・オープンの企画として国際現代美術展「DIALOGUES」を開催いたします。
2015年1月26日には、NICAお披露目会として、グランドオープニングパーティを開催いたしました。
大勢のみなさまにご参加いただきましたことを誠に感謝しております。
みなさまのご注目に恥じぬように、日本橋を世界へ、世界を日本橋に、大きなうねりを創発することができればと思っています。

さて、「DIALOGUES」展は連続3回による二人展という仕組みになっています。
先ごろ、第1期「ひかりのまち」を無事に終了することができましたが、引き続き、第2期「かわのまち」を開催いたします。
同日に近隣のギャラリーにおいてもレセプションを開催いたします。

第2期「かわのまち」のご案内を申し上げますので、何卒お時間が許す限り、ご覧いただければ幸いです。

DIALOGUES展 ~ダブルスx3連続国際展~
会場:NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts

国際現代美術展「DIALOGUES(対話)」は、国内外アーティスト6名による連続3期をふたり展とすることで、お互いのアイデアやスキルを活かしながら従来の作品とは異なる創造的領域を創出し、世界発信に向けたアートシーンを築いていきます。そのなかでは、いくつか新しい試みをしています。
●新しく出合った海外と日本のアーティストがダブルスを組んで展覧会を開催します。
●相互コミュニケーションを大切にした作品づくりを行います。
●アーティストの視点で考える「日本橋」がアート作品になります。
●いろんな人が関わることでひとつの展覧会になります。

■第2回展 2015年2月6日(金)-2月21日(土)「かわのまち」
ジョン・ササキ x 森田浩彰


江戸の町は、かわのまちとして発展しました。日本橋には、日本橋川、亀島川が流れています。さらには、桜川や新川など、いまでは姿の消えた川も多数に存在します。当時、江戸幕府の開幕とともに整備された河川は、水運として頻繁に商船が行き交っていました。それらの船は商品だけではなく文化や富をこの地にもたらしたのです。その後、大きな震災や戦災を経て街の変化とともに川の様子も変わってきました。今回は、アーティストが共同で水中ロボットを駆使して水中撮影を実施。水中や川底に歴史的痕跡を発見!?それは、展覧会のなかで明らかになります。
会場:NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
入場料:500円(全期パスポート)


◎展覧会:10日間 水曜日~土曜日(週4日間)を開廊
◎定休日:日曜日・月曜日・火曜日(週休3日間)
◎住所:東京都中央区日本橋大伝馬町13-1 PUBLICUS1階
◎開館時間:11:00‐18:00 

<オープニング・レセプション>
★2月6日(金)18:00‐20:00

本展覧会の後援をしていただいているカナダ大使館より文化担当官・飯窪里由子様のご臨席のもと、アーティスト2名を招いて、ささやかなレセプションを開催いたします。ご興味あるかたは、どなたでもご参加いただけます。
※入場には、パスポート(500円)が必要となります。

<スペシャル・イベント>
★2月7日(土)16:00‐18:00
クロス・トーク「かわをめぐるアートのはなし」
入場料:1,000円(パスポート+1ドリンク)
会場:社員食堂(CreativeHub131,3F)


<かわ>は、私たちの身近にありながら、かわに触れたり、かわを考えたり、ということは非日常となりつつあります。かわの視点から眺めてみれば、クリエイティブに新たな座標が産まれてくると思いませんか?現在、<かわ>に新しい試みをすることで、かわを開放し、大いに楽しみ、つなげていくことで、「かわ」にまつわる出来事が面白くなってきています。新たな<かわ>の世代を牽引し、積極的に<かわ>を刷新していくことで、新しいクリエイティヴィティの源流である<かわ>が発見できるかもしれません。かわにまつわる様々な人々を交えて、新しいかわの視点を探ることで、異なる創造性につなげることができるのではないでしょうか。一緒に<かわ>の可能性を語りましょう!

パネリスト:ジョン・ササキ(アーティスト)x森田浩彰(アーティスト)
スペシャルゲスト:藤井政人(国土交通省/ミズベリング)、井出玄一(ボートピープル・アソシエーション)、中崎透(アーティスト)、武藤勇(N-mark)
※時間内であれば、展覧会をご覧いただけます。

PART2参加アーティスト:ジョン・ササキ(カナダ・トロント)
Jon Sasaki (Tronto, Canada)
1973年に日系3世としてカナダ・トロントに生まれ、拠点として活動をしている。ジョン・ササキは、コンセプチュアルに基づいたパフォーマンス、ヴィデオ、オブジェ、インスタレーションなど多種多様なメディアを駆使した作品を制作しています。その表現はシニカルでユーモアのあるパフォーマンスに基づいたヴィデオ作品で知られていて、現代社会の矛盾や価値観のずれを巧妙に示しています。最近では、毎月のようにカナダだkではなく海外においてもメジャーな展覧会に参加しています。また、Instant Coffeeというクリエイターの集合体に所属してオルタナティヴな活動にも積極的に活動をしています。「遠足プロジェクト」(2012-)において、ランドセル作品を制作し、2013年には来日して「神山いいね!」(AAN主催)というワークショップのファシリテーターを務めた。日本における彼の家族のルーツをたどる独自の調査を行っています。


PART2参加アーティスト: 森田浩彰(東京)
Hiroaki Morita(Tokyo)
1973年福井県生まれ。2002年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジMAファインアート修了。現職は、跡見学園女子大学/東京造形大学兼任講師。見慣れた日常生活にあるありふれた日用品をアートと掛け合わせて触発していくものです。モノそのものを視覚表現として展示しています。コンセプチュアルを基盤とするメディア作品をミニマルに表現しているといえるでしょう。近年は「日常の喜び」水戸芸術館(茨城、2008)、「この世界とのつながりかた」ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀、2009)でグループ展に参加。個展では「Clockwise」青山|目黒 (東京、2008)、「Local Earthquake」Kabegiwa(東京、2009)など。


<予告>

★第3回展2015年2月27日(金)-3月14日(土)
サム・ストッカー(イギリス・東京) x 近藤恵介(東京)
「はしのまち」
27th Feb.-14th March 2015
日本橋の地名は、その名のとおり<橋>から来ています。この橋が江戸時代から町の要所として五代街道の起点になっていることはご存知でしょう。そして、その存在は人々を魅了し続け、多くの芸術作品に取り上げられてきました。<橋>という構造物が結ぶことや繋ぐことの役割であることは明白です。そして、実際に多くの人々の歩みを歴史のなかで繋いできた存在なのです。
今回は、橋の新解釈ともなる軽やかな建築的な側面と絵画的な側面が、アーティストの作品となって結び繋がることになるでしょう。


■NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Artsとは?
2015年1月16日に正式に開館したNICAは、世界水準の実験的なラボラトリーとして、日本橋という東京の中心地からアートとクリエイティビティーを発信していくことを実践していきます。江戸の中心だった日本橋大伝馬町の地下に出来たアートセンターは、CENTRAL TOKYOの新たなランドマークとして、時代を、社会を、創造する新たな感じられ、ときに刺激的に、ときに静かに、実感できる空間となることでしょう。主要メンバーは、新野圭二郎(館長)、岡田智博(企画委員)、嘉藤笑子(企画委員)。
■DIALOGUES展企画を担当したAANとは?

AANは、アーティストやキュレーターたちと自発的に始めたNPO活動で、ワークショップ、シンポジウム、展覧会など活動は広域で、教育的なアプローチも熱心に行っています。社会とアートをつなぐ機能を形成していくための実験的な装置を組み立てています。国際的な芸術活動を支援していくためのプラットフォームづくりを行い、さまざまなコンテンツを創造しています。また、国内に限らず海外ネットワークを長期に渡って形成しています。これまでアジアやヨーロッパ、北米で多数のアート・プロジェクトを実践してきました。代表・嘉藤笑子

主催:Art Autonomy Network[AAN]
協力:NICA: Nihonbashi Institution of Contemporary Arts, ㈱N Studio
後援:カナダ大使館、ブリティッシュ・カウンシル
助成:文化庁平成26年度文化庁優れた現代美術の海外発信促進事業
グレイトブリテン・ササカワ財団
<問い合わせ>Art Autonomy Network [AAN]

住所:東京都中央区日本橋大伝馬町13-1, Creative Hub131-6F

Tel&Fax:03-6206-2767 E-mail:info@a-a-n.org


Art Autonomy Network [AAN] 2015
“DIALOGUES”
Doubles x 3 parts exhibitions

The 2nd Exhibition: “River Town” (Kawa no Machi)
Jon Sasaki (Toronto) x Hiroaki Morita (Tokyo)

Part2: 6th Feb. – 21st Feb. 2015 (10 days)
Every Wednesday, Thursday, Friday, Saturday
Venue: NICA: Nihonbashi Contemporary Arts
Address: PUBLICUS B1 13-1 Odemacho Nihonbashi Chuo-ku, Tokyo
Admission:500yen (passport valid for all parts)
Open Hours: 11:00-18:00
Opening Reception: 6th Feb. 18:00-20:00
Artists Talk: 7th Feb. 16:00 – 18:00 1,000yen incld. Passport, One drink @ Creative Hub 131 3rd Floor.
Special Guests: Masato Fujii (Ministry of Land, Infrastructure, Tranport and Tourism), Genichi Ide(Boat People Association), Tohru Nakazaki(Artist), Isamu Muto(N-mark)

Curator: Emiko Kato
Organiser:Art Autonomy Network[AAN]
Cooperation: NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
N Studio Inc.
Supporter: British Council Tokyo, Canada Embassy
Grant: the Agency of Cultural Affairs, Great Britain Sasakawa Foundation
URL: http://nicatokyo.com/

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# by a-a-n | 2015-03-17 01:01 | Comments(0)
「DIALOGUESひかりのまち」@NICAレビュー
みなさま
2015年1月16日にNICAグランドオープニングが華やかに開催されて、たくさんの人々にご来場いただきました。ご来場いただきましたみなさまありがとうございました。

さて、現在NICAにて開催中の国際現代美術展「DIALOGUES」展をアーカイヴするための事業としてドキュメント作成の編集部を結成いたしました。逐次にレポートをアップしていきます。
現在、開催されている第1期「ひかりのまち」のレビューを掲載いたします。
ご観覧頂きました皆様のご感想をお寄せいただければ嬉しく思います。

なお、展覧会は1月31日まで開催中です。どうぞ、実際に足を運んでいただければ幸いです。


~~~~~~~~~~~~~~~~
第1回:Dialogue展「ひかりのまち」レビュー

 NICA(Nihonbashi Institute of Contemporary Arts)が2015年1月16日(金)にグランド・オープンし、国外で活動するアーティストと国内で活動するアーティストが1人ずつ「ダブルス」というかたちをとって展示を行うDialogue展(キュレーター:嘉藤笑子)が3回シリーズで行われています。第1回展は「ひかりのまち」をテーマに、シャーロット・マクグワン-グリフィン(ロンドン/ベルリン)と栗山斉(茨城)による展示が行われています。
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 シャーロット・マクグワン-グリフィンは、W・G・ゼーバルトの散文作品「土星の環-イギリス行脚」(1995)に着想を得た「SUBSTANTIAL FORMS」(和紙・白熱灯、他)と細川紙(重要無形文化財)をつくっている埼玉県小川町と本展示会場がある日本橋の「小津和紙」(東京都中央区)でのリサーチを経て制作された「Kami-no-Machi」(木・和紙・ファウンド・オブジェクト、他)を展示しています。「SUBSTANTIAL FORMS」の迷宮のように入り組んだテクスチャーは古代の鳥のような形態をとり、アーティストや観衆の眼が時間をかけて彷徨うなかで想像力が飛翔する様子を見ることができるかもしれません。「Kami-no-Machi」では、和紙にエンボス加工された安藤広重の「鯉」、江戸~明治時代の商家が用いていた帳簿「大福帳」などが、建築家セバスチャン・セイラーとのコラボレーションによってつくられた木と紙の建造物のなかに配置され、その近くには明治神宮で撮影されたとされる木におみくじを結える女性のスナップ写真が掛けられています。木と和紙が接ぎ木のようになっているところや、白紙から鯉が生まれ出るところなどを見ると、空虚から存在が現れる過程を祝福するかのような神々しさと温もりを感じさせてくれるでしょう。
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 その一方で、栗山斉による作品は、宇宙の始まりと終りについての形而上学的な思索をネオン灯という日常品に落とし込んだ「∴0=1 open ended」(ネオン灯・ガラス・1×10^-5の真空、電線)と北極星・ポラリスの位置変化を超-天文学的な時間の尺度の下でシミュレーションした「∴0=1 -Polaris(BC100000-AD100000)」(ネオン灯・ガラス・電線)を展示しています。「∴0=1 -open ended」の幾何学的に構成されたスパイラル状の形態/空間は円のかたちになって閉じることなく、電線から接続されたネオン灯は静かではあれ、強度をはらんだ暴力的な光を照射しているかのようです。ネオン灯の中の真空には、透明な光と背後のガラスの粒子をとおして、世俗的な視点からみた宇宙の生成、あるいはビッグバンのようなものを感じられるかもしれません。ある宇宙の始源はいつもほかの宇宙の崩壊の後にやって来て、その繰り返しの先に現在の宇宙が存在しているのだとあらためて思い起こされるでしょう。「∴0=1 Polaris(BC100000-AD100000)」では、北極星である"ポラリス"の軌道をネオン灯で辿ることで、幾重ものメビウスの輪の連鎖のような形態が浮かび上がってきます。科学という永遠に続く普遍性において見れば、人間の想像力によって「不動の星」と名付けられたポラリスもまた、生き生きと運動していることがわかります。
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 オープニング・イベントでは、ダンス・アーティストの加藤範子によるパフォーマンスが行われ、思索に富んだ穏やかな身振りとともに、「Kami-no-Machi」と「∴0=1 open ended」の間で存在と不在をめぐる小品を展開しました。また、同日に行われたアーティスト・トークには、美術批評家の市原研太郎が参加し、「木や紙とガラスという素材の違いはあるが、それぞれ光と影のイメージを表現している。表現に用いられるメディウムの変遷が一つの空間のなかで調和的に配置されていて、美術史の時代的なコンテクストを超えて見ることができた」というように、江戸時代の和紙と大正・昭和になって普及するネオンという2つの異なる時代の光について言及し、江戸時代からつねに伝統と革新が交差していた日本橋の歴史を振り返る契機となりました。
 シャーロット・マクグワン-グリフィンと栗山斉によるダイアローグは、木、紙、ネオン灯というさまざまな光の媒体ととても繊細に、ときには暴力的に、つくり込まれたディテールとともに、始まりと終り、あるいは存在と不在といったテーマについて観衆に考えさせてくれるかもしれません。画竜点睛。シャーロット・マクグワン-グリフィンの作品には、大福帳、おみくじ、鯉(竜鯉)と縁起物が満載。NICAという新しいアートセンターの門出とあらためて革新へと歩を進める日本橋の繁栄を祝福しているかのようです。
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(DIALOGUES展編集室/Art-Phil)
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# by a-a-n | 2015-03-17 01:00 | ドキュメント | Comments(0)
AAN国際現代美術展「DIALOGUES」インターン/ボランティア募集
AAN「DIALOGUES」国際現代美術展インターン/ボランティア募集

AANでは、2015年1月16日~3月14に開催する「DIALOGUES」展のインターン/ボランティアを募集しています。AANは、東京・日本橋を拠点に活動しているアートNPOです。このたび、新しいアートスペース「NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Arts」のグランドオープン記念企画として国際現代美術展を開催します。本展は、全体が3期に構成されている長期プログラムで、各回の展覧会は海外と日本のアーティストが競演する画期的な展覧会です。本展における設営・受付・監視・撤去・イベントについて積極的に活動してくれるサポート・スタッフを募集します。
 展覧会に向けて、ベルリンやトロントからアーティストが来日します。外国語に長けている人は活躍する場面も多いと思います。また、各回ごとにオープニング・レセプションやトークイベントなどがあり、楽しい交流の機会になると思います。私たちと一緒にアート体験しませんか?ご興味があるかたは、お気軽にお問い合わせください。
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<募集>
インターン/ボランティア(15名程度)
募集:2015年3月16日まで
待遇:3日間以上勤務できるひとは、補助金千円(日当)をお支払いします。
AANのE-mail(info@a-a-n.org)まで以下を明記のうえ送付してください。
所属:学生は学校名学年、会社名ほか
連絡先:携帯電話・E-mail
※希望者には、展覧会期間中に参加可能な日程をお聞きします。その返答を待ってスケジュールをFIXさせていただきます。採用者の参加希望日を優先しますが、実際の該当スケジュールは、事務局のほうで判断させていただきます。あらかじめご了承ください。

以下の日程でボランティアの説明会を開催します。
参加者は、今回の事業に参加できる人に限らせていただきますので、見学・視察はご遠慮ください。必ずE-mail(info@a-a-n.org)で連絡をしてください。

採用は、応募書類と面談を経て決めさせていただきます。
住所:東京都中央区日本橋大伝馬町13-1
Creative Hub131 3階 
問合せ先:03-6206-2767
Email: info@a-a-n.org

条件:18歳以上、高校生不可。
   近隣居住者・経験者歓迎。
     詳細は面談時に説明。
待遇:千円+AAN主催のイベント無料参加
期間:1月8日~3月16日
◎ボランティア説明会
日時:2015年1月25日(日)13:00-14:30
会場:NICA
定員:15名程度(申込時に参加希望日を明記してください)

仕事内容:
・イベント事業の運営補佐(会場設営・事務ほか)
・展覧会の準備、受付・監視業務など
・ゲストやアーティストの対応
・ドキュメント(スチル、ビデオ撮影)
・広報活動の補助(ブログ更新・リポート記事の作成・チラシ配布など)

※自己管理ができるひと、モチベーションの高いひとを希望します。
※堅実で地味な作業にも打ち込める人
※時間を守り、自己責任のある行動ができるひと。
※応募書類は、本目的以外には利用いたしません。

《サポートスタッフ特典》
◎現代美術の現場に最初から関われます!(共通パスポート授与)
◎アーティストやキュレーターに出会えます!
◎アート好きの仲間と友達になれます!
◎海外ゲストにおもてなしを実践できる!
◎将来アート関係に仕事につきたい人はチャンス!

■展覧会情報:
“DIALOGUES” ダイアローグ
ダブルス x 3連続国際展
■第1回展 2015年1月16日(金)-1月31日(土)「ひかりのまち」
シャーロット・マクグワン=グリフィン(ドイツ・ベルリン) x 栗山斉(茨城)
■第2回展 2015年2月6日(金)-2月21日(土) 「かわのまち」
ジョン・ササキ(カナダ・トロント) x 森田浩彰(東京)
■第3回展  2015年2月27日(金)-3月14日(土)「はしのまち」 
サム・ストッカー(イギリス・東京) x 近藤恵介(東京)
◎会場:NICA:Nihonbashi Institute of Contemporary Arts(中央区日本橋大伝馬町13-1 PUBLICUS-B1)
◎各展覧会:10日間x 3期 水曜日~土曜日(週4日間)を開館
◎開館時間: 11:00-18:00 初回金曜日18:00-20:00(オープニング・レセプション)
◎定休日:日曜日・月曜日・火曜日(週休3日間)
◎入場料:500円(全展共通パスポート/期間中は再入場可)
◎クロス・トーク(参加アーティスト x キュレーター):1,000円(パスポート割引500円)
※展覧会期間の第1週目土曜日を基本とする。
★2015年1月16日(金) 18:00-21:00 グランドオープニング・パーティ
本展は国内外アーティストがタッグを組むことで、従来の作品とは異なる新しい創造的領域を生み出していき、国際舞台で活躍できるアーティストの発掘・育成も目的とした展覧会となります。
http://aanet.exblog.jp/21381500/

■AANとは?
国内外のアートイニシアティヴ組織や活動の情報収集とアーカイヴを行っています。また、こうした自立型組織を運営している個人やアーティストたちと緩やかなネットワークを形成しています。国際的な芸術活動を支援していくためのプラットフォームを提供し、さまざまなコンテンツを創造しています。現在、NPO法人申請中(理事メンバーは有名作家や館長、教授など文化人多数)。www.a-a-n.org

■Art Autonomy Network[AAN]
Art Autonomy Network[AAN] 代表 嘉藤笑子
〒103-0011東京都中央区日本橋大伝馬町13-1-2階“Creative Hub131”2階
Tel&Fax :03-6206-2767
E-mail: info@a-a-n.org, URL: http://www.a-a-n.org

■アクセス(Creative Hub131&NICA:Institute of Contemporary Arts)
JR馬喰町から徒歩4分、地下鉄 都営浅草線東日本橋駅から徒歩5分、都営新宿線馬喰横山駅から徒歩4分、営団日比谷線小伝馬町駅から徒歩3分。JR神田駅、秋葉原、浅草橋より徒歩15分程度
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# by a-a-n | 2015-03-17 00:00 | Comments(0)



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